神戸地方裁判所 昭和39年(わ)71号 判決
被告人 有田文男
昭一二・一・二〇生 自動三輪車運転手
飯山利光
昭一五・一一・一七生 自動三輪車運転助手
主文
被告人有田文男を懲役五年に、被告人飯山利光を懲役三年六月に各処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人等は、昭和三九年一月二日午前〇時二〇分頃、飲酒のうえ神戸市垂水区西垂水町神田町一〇九番地山陽電鉄垂水駅付近の線路沿い北側路上を通行中、被告人有田が、同路上に、飲酒酩酊のうえ、しやがみこんでいた高井光男(当二八年)から、何事か意味不明瞭な言葉をかけられたことに立腹し、同被告人において、右高井の顔面を右手拳で二回殴打したところ、同人が「こらえてくれ」と謝り、同被告人の勢いに畏怖している様子を示したのでこれを看取した、同被告人は、同人から金員を強取しようと決意し、同人に対し「金を出せ」と要求したが、拒絶されるや、またもや同被告人は右高井の顔面を手拳で数回殴打し、更に「わしらは本多組の者や」と申し向け、その場にいた被告人飯山に対し、「電話をして連れの者を呼んで来い」と申し向け、あたかも被告人等が暴力団体の構成員であるかの如く装い、続いて、右高井の腕をつかんで同人を同町神田町一〇四番地勝村潤方東側路地に連行しなおも右高井に対し、「金を出せ、時計を出せ」と要求し、同人が「こらえてくれ」というや、同人の顔面をまたもや数回殴打するなどの暴行脅迫を加えてその反抗を抑圧したうえ、その場に同被告人に追従して来ていた被告人飯山に対し、「こいつの金を探せ」と命じたところ、被告人飯山も当初から被告人有田に追従し、同被告人が右高井に対し、前記のとおりの暴行、脅迫を加え、金員を強取しようとしている意図を察知し、また、右高井が被告人有田の前記暴行、脅迫により、反抗を抑圧されているのを見て、被告人飯山も被告人有田の右犯行に加担しようと決意し、ここに、被告人両名共謀のうえ、右高井の上着ポケツト内より現金三、〇〇〇円を、また同人の左腕より腕時計一個(時価一〇、〇〇〇円相当)を強取したが、右暴行により右高井に対し全治約一〇日間を要する左眼瞼、左頬部、口唇各打撲傷、歯齦出血、左外傷性球結膜炎の傷害を与えたものである。
(証拠の標目)(略)
(法令の適用)
被告人等の判示所為は、刑法第六〇条、第二四〇条前段に該当するので、被告等に対し、所定刑中有期懲役刑を選択し、なお被告人等には犯罪の情状憫諒すべきものがあるので同法第六六条、第七一条、第六八条第三号により酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人有田を懲役五年に、同飯山を懲役三年六月に処し、訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項但書を適用して、被告人等に負担させないこととする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 細見友四郎 西川太郎 杉谷義文)